Qrionさんのライブセットを分解

2018年の上期は好きな音楽にたくさん出会えた!うまくカテゴライズしてまとめられたらと思っていたのだけど、下期も半分終わってしまった。別にメディアやってるんじゃないし、こだわってまとめる必要なんてないと気付いたので、小出しで書き残す。

Qrion
来日前、インタビュー記事を読んだり代表曲らしい「Beach」「Every Square Inch」(with Qrion)等いくつか聴いたが、なんかピンと来ず。10代とか20代前半で作ったことは確かに凄いんだけど。結局AUDIO TWOには行かず、後日アーカイブを聴いた。
「なるほど、そういうことか!」と膝を打ちまくり。単体で聴いたときはさほど魅力を感じなかった曲が、その順番でその曲にしかできない役割を果たして活きてる。ライブセットの組み方がうまいからか、Qrion氏の曲自体がDJユースに作られているからか、その両方か。40分ではなく1時間だからとしても、他のtrack makerのライブセットと比べると曲数が多い。繋ぐ曲の選択、繋ぎやマッシュアップの仕事が丁寧で、曲が切り替わったことを意識させない。ほぼQrion氏の曲又はremixかと思ってしまった。DJの経験がライブセットに生かされているのかな。track makerのライブセットは、1曲1曲はいいのだけれどDJと比較するとセットとしてはいまいち物足りないことが多いけど、Qrion氏はさすがだ。Taico ClubやCIRCUS OSAKAでの映像を見るとヘッドフォンをしていないので、事前にライブセット作り込んで(一本wav?)、現場でエフェクトかけてるってことだろうか。だとすると「まだまだいけますかぁ。」言うてはるけど、1時間のセットは組みあがってしまっているのでは。


ELOQ - Worth It (Qrion Remix)
Giraffage - Tell Me (Qrion Remix)
Chance The Rapper - All Night (feat. Knox Fortune)
Qrion - Bring Back
Baba Stiltz - Can't Help It
Qrion - Used To Be
Qrion - T&C
HNNY - Trummor
Migos - Bad And Boujee (Clean) もしくは Fabolous & Trey Songz - Bad & Boujee
Qrion - GAF

Qrion - iPhone Bubbling
Scottie B- Niggaz Fightin
French Fries - Yo Vogue
Shiba San - Okay
Vince Staples - Party People
Qrion - Quick Turn
Yaeji - Raingurl
Crystal Waters - Gypsy Woman (Rave Yard Mix)
Qrion - Beach
Crystal Waters - Gypsy Woman (Rave Yard Mix)
Qrion - Beach
Qrion - IMYSB
Qrion氏の曲、全部盛りみたいなセット。でもくどくないんだよなぁ。そして、これくらいのBPMでも全然踊れるやんね。Baba Stiltz - Can't Help ItはQrion氏の曲かと思った。うまい人は他人の曲を自分の曲みたいにかける。器用な人は人の道具でも使いこなすみたいなことなのかな。HNNY - Trummorはinterludeのようにうまく使われているのでは。最後BeachとGypsy Womanのかけあいとマッシュアップ、またBeachが始まると思いきやIMYSBで締め。Beachは飽きがこないように大胆なレシピで。

ライブセットを聴き、このインタビューを見て更に印象が変わった。
・Qrionの名前の由来
・家族(妹、ミュージシャンだった父)
・エレクトロミュージックに出会うきっかけ
・好きな音楽と自分の音楽の違い(チルいのが好きなわけちゃうんや)
・自分の音楽の変化
・日本人に向けてのメッセージ
アメリカは日本より音楽で食べていきやすいのかもしれないけれど、それでもアジア人として暮らすこと、しかもエンターテイメントの世界というのは、精神的にも相当タフじゃないとやっていけないと思う。だからなんとなく、すごく主張の強い人をイメージしていた。インタビューから受ける印象はごく普通の日本人女性。お父様の才能を受け継いでおられるかもしれないけれど、子供のころから英才教育を受けたとかではなく、地方の一般的な家庭で生まれ育ったアーティスト。自分の使える言葉で誠実に答える姿はとても好感が持てた。

最近ようやく、自分はどうもアンビエントな音楽が好きなこと、でも流行っていたのは2010年頃ということががわかってきた。当時アンビエントな曲作っていた日本人track maker達は、社会人になり忙しくなってるみたいで、良曲が量産されているようには思わない。4つ打ちも取り入れつつも軸はアンビエントさを維持して作り続け、Tomorrowland出演を果たすなど活躍の場を広げているQrion氏は改めてすごいことがわかったし、日本で音楽活動する人に夢や勇気を与えるフロンティアだと思った。Qrionさんの背中を追いかけて、才能ある人が外に出て活躍していくのが楽しみ。

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