パソコン音楽クラブ 1stアルバム 「DREAM WALK」

パソコン音楽クラブを知ってから1年8か月、最初に観たライブは人もまばらだったのに、あっという間にフロアは満員電車状態になり、CDアルバム全国発売。大阪の南の端ででクラブ活動のようにゆるく楽しく作っていた音楽が、全国の人の手元に届く。ただ遠くから見ていただけなのだが、彼らが階段を駆け上っていく姿に夢をもらった。


走在
柴田色強め。53秒からの手押しオルガンのような音に胸が高鳴る。後半に入ってる変な声はどうしているのだろう。宗教上の理由でサンプリングはできないはずだから、シンセで音を作っているのか、柴田さんの声を加工しているのか。「조개」も柴田氏の曲で、中国語のような声が入っていてどう作ったのかずっと気になってる。

Virtual TV
「OLDNEWTOWN」は別格として、この曲が良かった。Youtubeにある「パソコン音楽クラブ / 冬セッション」の中の「Pinkara Brothers」をベースにして、新しい部分が付け加わっている。付け加わった部分は、2018年1月のMaltine βで初お披露目されたと思うんだけど、そのときから気に入ってライブ動画を繰り返し再生して聴くことで半年間しのいできた。まさか「Pinkara Brothers」とくっつくとは。「Pinkara Brothers」も覚えるほど聴いているので、新曲というより「Pinkara Brothers」と新曲部分をマッシュアップした曲として私の耳には入ってくる。新たに付け加わったイントロ部分、柴田さんがトークボックスのホースくわえているのが目に浮かぶ。このメロディが大好き。初期の曲の方がパソコン音楽クラブが色濃く出ていると思っていて、耳にしたときに「パ音だ」とわかりニヤリとしてしまう。

Waterfront
SoundCloudには「ウォーターフロントの暮らし」というタイトルで上がっていた。若干小さな音が足されているようだけど、上がっていたものとほぼ同じ。ライブセットにもよく入っていたと思う。繰り返しが続く曲なので、家でじっくり聴くより、ハウスのDJミックスに入れると生きるのでは。ノリがよく踊りやすいという感じではないけれど。パ音のテーマとしてニュータウンやショッピングモールがある。大型スーパー、今だとイオン、昔だとダイエーイズミヤの4階あたりにある「暮らしと生活のフロア」もよく話題に出てきていた。だから「暮らし」という言葉が入っている元のタイトルが、なんか良かったんだよなぁ。

OLDNEWTOWN
SoundCloudに上がっていたときは「OLD NEWTOWN」で間にスペースが入っていた。70年代80年代はNEWだったニュータウン、それらが今は過去のものという意味で、古いニュータウン「OLD NEWTOWN」だと理解している。ブログを読んで下さっている方には繰り返しで申し訳ないが、蔦谷好位置氏にも褒められた曲SoundCloudに上がっていたものと比べると、イントロが追加されている。ポキ山色が出ていて良い。突然始まるのも良かったけれど。ボーカルは若干輪郭がはっきりしたかな。ライブのときはボーカルが小さめで前に出ないところがいいと思っていたのだけど、一人で聴くならこれくらいボーカルがしっかり聴けるのがいい。「ESCAPE」「SUPER 8」「8 JBODY2」「Sepia21」「Express 25」「Until Morning」「Recall」「Inner Blue」このあたりはポキ山氏の作詞作曲ではないかと推測している。(違ったらごめんなさい。)今後こんなキャッチーな曲が生み出せなくなったとしても、これだけの名曲を出しているのだから、既に名プロデューサーだと思う。柴田氏の技術や玄人好みしそうな個性もパ音の魅力だが、ポキ山氏の生み出すせつない歌謡曲なくして、パ音がここまで人気を集めるのは難しかったのでは。私はパ音初期のボーカルを担当しているまほちゃん氏の声と歌い方のファンだ。レコードで昭和の歌謡曲を聴いているような、古い機材の音になじむ優しい声。会いに行けるアイドルではなく、かわいらしく親しみを感じるけれど手の届かない昭和の歌手のような品がある。難しいのかもしれないが、できれば「ESCAPE」「SUPER 8」「8 JBODY2」「Sepia21」「Recall」は彼女の声のままリリースしてほしいな。

Inner Blue
せつなくて胸が苦しくなるから1日3回まで。なのに1回で耳に残り、頭の中でイノウエワラビ氏が歌い続けてくるので困る。まほちゃん氏が昭和なら、イノウエワラビ氏は平成、曲のタイトルのように青く透き通るクールな歌い方。歌詞がエモ過ぎるから、歌い方はこれくらい感情こめずさらりとするくらいでちょうどいい。いつもはギャル大好きで、毎日何かにキレていて冬の寒さにまでキレているのに、こんなに胸をキュンとさせる、情景が浮かぶ歌詞をさらっと書くのはずるい。ポキ山氏、かっこよすぎでしょ。「耳に届くその音楽が、終わらない夜を僕にくれる」の歌詞を聴いたとき、夜な夜な音楽を作り続け、一度もリスナーにくれてやると偉そうにすることなく音楽を届けてきてくれた彼らの姿がふと浮かび、涙が止まらなくなった。M1ピアノ(Piano 16')、YAMAHA PSSの音が入っているとのこと。

Once More
これはどうだろう、歌詞入ってるけど柴田氏の曲かな。柴田氏が肘から先をぶんぶん振り回してそう。

Beyond
これも柴田氏かな。80年代のフュージョン全開。彼らに影響されて、佐藤博角松敏生も聴くようになった。InterFM パソコン音楽クラブのMaltine Mixのときの選曲、去年出したカバーアルバム「SHE IS A」と来て、今度は自分たちで作ってしまった。イントロがlo-fiで、揺らぐような音が入っているのもいい。シンセでこんなきれいなサックスの音が出るのか。80年代の曲の中にこっそりこの曲を混ぜたミックス、誰か作ってくれないかな。

ライブでも毎回入っている自動音声読み上げの「パソコン音楽クラブです。」のナレーションがなかったのがさみしい。アルバムに新曲が入っていたのは嬉しかったが、去年の夏から待ち続けていた「Recall」が入っていなかったのは少しがっかり。「花博」もパソコン音楽クラブを代表する名曲だと思っていて、高音質で聴きたいので入れてほしかった。歌もの「SUPER 8」「8 JBODY2」「Sepia21」は今後のアルバムに順次含めてもらえたら。「新宿御苑」や「武庫川女子大学」といった柴田氏の作る映画のサントラのような音楽が大好きなので、近い将来サントラのアルバムも聴けると信じ、楽しみに待っていたい。私は皆さんよりだいぶ寿命が短いので、目の黒いうちにお願いしたいところ。


Urban Garden
ディスクユニオンの特典Traxx β2の3曲目。Youtubeにある「パソコン音楽クラブ / 冬セッション」の最後にかかっている曲。アルバムに入っていてもおかしくない。初期の曲は音数が少なくてシンプルなのに、1曲1曲の個性がはっきりしていて記憶に残り易い。

Nexco 東日本
タワーレコードの特典Traxx β1の2曲目。ファンの間での人気曲。FMラジオのトラフィックインフォメーションのバックで流れていそう。

Low-Cost
これはポキ山さんかな。今まであまり聴いてこなかったが、作業用BGMに混ぜていたところ、気持ちよさに気がついた。前半ビート無しで、徐々にビートが入っていく。ワイパさんとかSEKITOVAさんのDJミックスで入れてみてほしい。

βってことは正式版が今後のアルバムに収録されるということかしら。タワレコでβ1、β2の2種類売ってくれればとも思ったが、2種類にするとセールス集計のときに分散してしまうし、販売ルートバラしたのは各レコードショップの売り上げに貢献する配慮かと。深読みかな。3枚買わないと全特典曲が聴けないが、逆に2枚3枚買った人には違った曲をプレゼントする優しさと受け取ってる。


アルバム初期ロットは売り切れのようだし、itunesエレクトロニックランキング1位とかなり売れている様子。次のアルバムが出るのは確実だろう。私が最初に彼らのライブを観たのは、渋谷WWW X。響き渡る「花博」の音の美しさが今でも忘れられない。もう一度だけでもいいからWWW Xのあの音響で彼らのライブが観たい。改めて、アルバム発売本当におめでとうございます。これからも遠くから応援させて下さい。

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